ジバンシィ(Givenchy) 2020年春夏メンズコレクションが、イタリア・フィレンツェで発表された。
“不協和音”をテーマに
日本語で“不協和音”を意味する「NOUVEAU GLITCH」を今季のテーマに掲げたジバンシィ。2つ以上の音が響き合うときに生まれる不調和な和音は、ネガティブなイメージを持たれる傾向がある一方、クラシックミュージックにおいてしばし取り入れられているのも事実。作曲家の緻密な計算によって不協和音が取り入れられる時、そこには美しいハーモニーが生まれるという。
伝統×現代を組み合わせて
デザイナーのクレア・ワイト・ケラーは、そんな“思いがけない”不協和音を生み出していくかのように、今季のコレクションで“伝統と現代”という全く異なる要素をワードローブの中で繋げていく。
例えば着こなしは、ジャケット×パンツというクラシカルなスタイルが基本。けれどそれはどこか“不完全”で、ストリートライクなルーズなシルエットであったり、シャツの代わりにスポーティーなテクニカルニットが差し込まれていたり、足元はカジュアルなスニーカーで決めていたり…と、1つのルックの中でフォーマルとインフォーマルの要素がひしめき合っているのだ。
こだわりの素材
そんな特徴的なスタイルの中でも、確かな気品を香らせているのは、こだわりを詰め込んだ上質な素材。ジャケットの上にレイヤードされたオーバーサイズのアノラックは、ベルベットのような滑らかな光沢をもつ特殊ナイロンで仕立てて。またジャケットの下に差し込んだニットと合わせて、“メッシュ”風に仕上げたホワイトのパンツは、極薄のレザーに細かなパンチングを施して完成させたものだ。
ラグジュアリー感溢れるクチュール的表現
クチュール的表現も外せないポイント。一枚で肌の上からラフに羽織ったロングジャケットは、繊細なビーズ使いが伺える、緻密なクラフトマンシップが感じられる一着。またパンツ同様ジャカードで仕立てたように見えるロングジャケットは、ジャカードの絵柄のモチーフをビーズで再現したもの。ラグジュアリーなムード溢れる柄×柄の着こなしが提案されている。
移り行くカラーパレット
カラーパレットも、ニュートラルカラーから鮮やかな色彩まで実に様々。ランウェイの上では、ダマスクローズ、バターミルク、パウダーブルー、トマトの淡いフレスコ的な色調から、ミッドナイト、バーガンディ、ガンメタルといった闇夜の色調へと移り変わるドラマティックな演出がなされた。